行政書士が解説「大工工事」「左官工事」

【2024/8/23執筆】

建設業許可における「大工工事」「左官工事」はその言葉的にはイメージが湧きやすい業種と言えます。住宅などの造作や壁に漆喰などを塗り付ける工事がイメージしやすいのではないでしょうか。

実際にはどういった工事が「大工工事」や「左官工事」に該当するのか、見ていきましょう。

「大工工事」の内容

建設業許可上の「大工工事」は、木材の加工又は取付けによる工作物を築造し、又は工作物に木造設備を取り付ける工事と定義されています。

具体的には「大工工事」、「型枠工事」、「造作工事」が該当します。

「型枠工事」は、主に鉄筋コンクリート製の建物・工作物等を建てる際に行われます。

骨格部分となる骨組みを鉄骨や鉄筋で作り、その周りをパネル板で囲ってコンクリートを流し込みます。

コンクリート建造物だけでなく木造の一般家屋の場合も、基礎部分に型枠工事が必要となるのが一般的です。

ちなみに型枠工事はその工事に歪みや凹凸が発生すると建物全体に影響が出るため、非常に精密さを要求される工事と言えます。型枠そのものが正確にかつ頑丈に仕上がっていない場合、いざコンクリートを流し込んだ際に、重みでずれが発生したり隙間ができてしまいます。

「左官工事」の内容

建設業許可上の「左官工事」は、工作物の壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗、吹付け、又ははり付ける工事と定義されています。

具体的には「左官工事」、「モルタル工事」、「モルタル防水工事」、「吹付け工事」、「とぎ出し工事」、「洗い出し工事」等が該当します。

「とぎ出し工事」は、天然の砕石粒等をモルタルに混ぜて工作物の床や壁などに塗りつけ、それが硬化してから表面を電動工具等で研磨する工事を言います。

「洗い出し工事」は、モルタルコンクリートが完全に硬化する前に水で洗い流して、中に入っている砂利等を露出させる工事です。

「左官工事」の考え方

  • 防水モルタルを用いた防水工事は「左官工事業」、「防水工事業」のいずれの業種の許可であっても施工可能です。
  • 「ラス張り工事」「乾式壁工事」、通常は左官工事を行なう際の準備作業として当然に含まれているものと考えられています。
  • 「左官工事」における「吹付け工事」は、建築物や工作物に対してモルタル等を吹付ける工事を言います。「とび・土工・コンクリート工事」における「吹付け工事」は、「モルタル吹付け工事」及び「種子吹付け工事」を総称したものであって、法面処理等のためにモルタル又は種子を吹付ける工事を言います。

大工工事、左官工事許可取得に必要な専任技術者としての資格

建設業許可における「大工工事」「左官工事」を取得するため、専任技術者に求められる資格は以下のとおりです。

資格を保有していない場合は、「関連する学歴+3~5年のとび・土工・コンクリート工事に関する実務経験」、「とび・土工・コンクリート工事の実務経験10年」で専任技術者となることができます。

(ただし、許可申請の際にそれを証明する過去の資料が必要です。)

【大工工事】

1級建築施工管理技士
2級建築施工管理技士(躯体)(仕上げ)
1級建築士
2級建築士
木造建築士
1級建築大工技能士
2級建築大工技能士(資格取得後に実務経験1年~3年)
1級型枠施工技能士
2級型枠施工技能士(資格取得後に実務経験1年~3年)

【左官工事】

1級建築施工管理技士
2級建築施工管理技士(仕上げ)
1級左官技能士
2級左官技能士(資格取得後に実務経験1年~3年)

(著者)行政書士 方波見泰造(ハイフィールド行政書士法人)

行政書士歴10年。建設業許可に関しては新規・更新・各種変更手続きの他、経営事項審査申請のサポートと入札参加資格申請を東北六県、関東で対応中。顧問契約で許認可管理も行っている。行政書士会や建設業者でも建設業許可に関する講演・セミナー実績あり。

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【保有資格】行政書士、宅地建物取引士(登録済)、経営革新等支援機関

経済産業省認定経営革新等支援機関として企業の資金繰をサポートするほか、不動産業(T&K不動産)にて事業用地の仲介も行う。

許認可という企業の生命線をしっかり管理しながら、資金繰りと事業用地という経営の土台も支える行政書士として日々研鑽を行う。

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