行政書士が解説「建設業許可のメリット」

このサイトでも折に触れて説明しているとおり、建設業許可を取得するには様々な要件を満たしたことを確認したうえで、申請書を作成し、要件を充足していることを証明する必要な確認資料を用意してようやく許可取得まで進むことができます。

また、建設業許可取得後も、毎年の決算変更や5年ごとの更新手続き、その他一定の変更に対する変更届や申請手続きが必要です。これらの手続きには行政庁への手数料が必要とされる場合もありますし、届出ないこと、申請しないことが建設業法違反に問われる場合すらあります。

加えて、建設業法許可業者は「一括下請けの禁止」や「技術者の配置義務」など、建設業法の規制を順守する必要があります。

言い方を変えると「許可を取得したが故に制約が発生する」という部分も確かにあり、これらの複雑な要件や制約を考えると、「いいや、許可なしでも工事はできるから建設業許可は面倒だから取らない」という考えも理解できます。

 

建設業許可の具体的なメリットとは?

とは言いながら、それら複雑な要件や制約を勘案してもなおメリットがあるというのも事実です。

確かに会社の方針によってはメリットがメリットでない場合もあろうかと思いますが、一般的に考えられる「建設業許可のメリット」をここでご案内しようと思います。

私の独断と偏見かもしれませんが、参考までに。

請負金額上限がなくなる

まず、建設業許可を取得することで500万円以上(消費税込み)の工事(ただし、建築一式工事については木造住宅以外では1,500万円以上、木造住宅では延べ面積150㎡以上の工事)を請け負うことが可能となります。

請け負い金額に上限がなくなりますので、より柔軟な事業や営業活動が可能になります。

少なくとも「せっかく工事を請け負うことができそうなのに500万超えているので請け負えない・・・」という悩みがなくなります。

なお、極論を言えば数千万円でも数億円の工事でも請け負い可能ではあるのですが、下請けに回す金額に関しては「特定建設業許可」「一般建設業許可」の問題が出てきますのでご注意ください。

会社としての信頼向上

「信頼向上」等と書くと曖昧なもっともらしい「信頼」という言葉を使って偉そうに書いているだけと思われるかもしれませんが、私自身そういうガラでもないので実際のところを言いますと、こういう「信頼性」が浮き彫りになる場面は確かにあります。

このあと書きますが「建設業許可を取得しているかどうか」で契約や融資を判断される場面を多々耳にします。

その結果「建設業許可を取ってくれたら契約する」と言われたので建設業許可を依頼します、という場面は何度もありました。

考えてみればそうなのです。

建設業許可の取得には、常勤役員等(経営業務の管理責任者(経管))又は建設業に関する「経営体制(常勤役員等と常勤役員等の直接補佐者)」、専任技術者(専技)等の人的・組織的要件、営業所等の物的要件、財産的基礎等の財産要件を満たし、一定の基準をクリアしなければなりません。

この基準をクリアしたということは、その建設業許可業者は、経営体制や技術・資産についての厳しい要件をクリアして存在する事業者ということですので、官公庁や民間、金融機関等からの信用度も増す、ということになります。

元請けとの関係

元請業者が許可が必要な工事について無許可業者と契約すると、元請業者自身に罰則が課せられる可能性があります。

その結果どうなるか。

元請業者は建設業許可が必要ない場合でも、下請業者には許可を持つ業者を指名するようになります。

この実態から、事実上、許可を持たない業者が参加できる工事が減少していると言えます。

国土交通省も公共工事においては、元請業者に対し、下請業者から孫請業者まで、許可を持つ業者を使うよう指導しています。

その結果、元請業者は新しい下請業者や孫請業者と契約する際、最初に建設業許可の有無を確認するようになります。

元請業者や取引先から建設業許可の取得が促され、不本意ながらも許可を取得する人も多いようですが、実際にはこれにより元請業者との関係を強化し、新規の取引先を獲得するチャンスが増えることになるのではないでしょうか。

公共工事に入れる

公共工事に参入するには、原則的にそもそも建設業許可を取得した上で、経営事項審査(いわゆる経審)を受ける必要があります。請負金額500万円以下か否かにかかわらずです。

言ってみれば許可業者であることが公共工事へ参入するための大前提ということです。

建設業許可を取得した上で経営事項審査を受け、各自治体へ入札参加資格申請(指名願い)を行うことで、公共工事に参加する資格を得られます。

公共工事を請け負うことができれば、事業の継続や拡大にすることも可能となります。

建設業許可を一度考えてみるのもあり

いかがでしょうか。

建設業許可は確かに要件が複雑であり、取得までに越えなければならないハードルはいくつもあります。

と、いうことは、それらの要件を満たす可能性があるのであれば建設業許可を取得するのもいいのでは?

事実、要件を満たせないために建設業許可取得を断念する企業様も相当数いらっしゃいます。

例えば一定の資格者が在籍している、会社として5年以上建設工事を請け負っている。いまいる取締役の〇〇さんが過去5年以上建設会社の役員だったらしい、という状況であれば、建設業許可取得に動いてみるのもひとつの選択ではないでしょうか。

以上、建設業許可取得をサポートする側からのまとめでした。

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