【2024/7/6更新】
公共工事を元請として受注するためには、一般競争入札・指名競争入札に参加しなければなりません。
「よし、だったら早速入札に参加しよう!」
ちょっとお待ち下さい。
実は入札に参加するためには、いくつかのステップを踏まなければならないのです。
では、入札に参加するためには、何をどのようにすればいいのでしょうか?
当事務所では、建設業許可取得から入札の資格登録までの一貫したサポートを提供しております。
地元宮城県を筆頭に県内の全自治体、東北6県の自治体、国土交通省、環境省などの主要官庁への登録実績は年間300件以上。ランクアップの「つぼ」もアドバイス致します。
入札参加までの4つのステップ
ステップ① 建設業許可の取得
これが全ての基本です。
各自治体の入札に参加するためには、原則的に「建設業許可」業者であることが大前提となります。
いかに許可を取得するか、に関しましては、このホームページのメインコンテンツでもありますので、改めてご参照下さい。
ステップ② 経営状況分析
この「経営状況分析」が、実際の入札参加へ向けた、最初の具体的な動きとなります。
お客様の財務内容を「登録経営状況分析機関」が分析し、結果は書面にて通知されます。
いわば、「財務内容の通信簿」です。
次の段階である「経営事項審査」に進むためには、この通信簿=「経営状況分析結果通知書」が必須です。
当事務所では、登録経営状況分析機関と常時連携していますので、お客様から必要書類をお預かりするだけで、経営状況分析への素早い対応が可能です。
ステップ③ 経営事項審査
「経営状況分析結果通知書」を受け取ったあと、「経営事項審査」を受審します。
一般的に「ケイシン」と呼ばれているものです。
「経営事項審査」は、国や自治体が工事を発注する為の判断基準とするため、「企業の力」を判断するものです。
ほとんどの国や自治体で、この経営事項審査の結果(総合評定値:「P点」といいます)で企業を格付けし、発注金額等を決定していますので、「自治体からいくらの工事を受注できるか」を左右する、極めて重要な手続きになります。
経営状況分析の結果が「財務内容の通信簿」であれば、経営事項審査の結果は「会社全体の通信簿」と言えます。
この「会社全体の通信簿」善し悪しで、受注できる工事がほぼ決まります。
経営事項審査の審査項目はいくつかの項目に分かれており、それらを総合して「総合評定値:P点」が算出されます。
それぞれの項目で何がポイントになるのかを把握することが、P点アップへの近道です。
「総合評定値:P点」は以下の計算式で算出されます。
P=X1×0.25+X2×0.15+Y×0.2+Z×0.25+W×0.15 |
---|
X1、X2、Y、Z、Wは、それぞれ個別の審査項目です。
順番に見ていきましょう。
①X1=工事種類別年間平均完成工事高
P点の25%を占めるポイントです。
年間の完成工事高が多ければ多いほど、点数が増える仕組みになっています。
②X2=自己資本額および平均利益額
P点の15%を占めるポイントです
これは、自己資本額と営業利益・減価償却実施額を合計して平均化したものです。
やはり自己資本や営業利益等の数値が良いほど、点数が増える仕組みになっています。
③Y=経営状況分析
ステップ2で入手した「経営状況分析結果通知書」の点数です。
20%がP点に反映されます。
④Z=技術力
X1と共にP点の25%を占める大きなポイントです。
有資格の技術職員の人数、元請完成工事高等が考慮されます。
技術職員が多いほど、元請完成工事高が大きいほど、点数がアップします。
⑤W=社会性
P点の15%を占めるポイントです。
審査項目としては以下のとおりです。
・労働福祉の状況
・社会保険、雇用保険への加入状況
・建設業退職金共済制度への加入の有無
・退職一時金制度、企業年金制度の有無
・法定外労働災害補償制度の有無
・建設業の営業継続の状況
・許可取得後の営業年数
・防災協定締結の有無
・法令遵守の状況
・建設業の経理状況
・監査の受審や、公認会計士・2級登録経理試験合格者等の在籍
・研究開発の状況
・建設機械の保有状況
・ISO認証の取得状況
ステップ④ 自治体への競争入札参加資格申請
経営事項審査を受け、会社全体の通信簿と言える「総合評定値:P点」が明らかになって、初めて自治体に対する競争入札参加資格申請ができるようになります。
申請は、市町村・都道府県・国の省庁(及びそれらに付随する公的機関)ごとに行う必要があります。
例えば「宮城県」と「仙台市」は、それぞれ別の自治体です。
宮城県は宮城県の工事を発注し、仙台市は仙台市の工事を発注します。
両方の入札に参加したいのであれば、「宮城県」「仙台市」2つの自治体に登録しておかなければなりません。
さらに国レベルで言えば、例えば「国土交通省」と「環境省」は別の組織になりますから、どちらの入札にも参加したいのであれば、それぞれ登録する必要があります。
例年、11月頃から各自治体で申請要領が公表され、翌3月頃にかけて必要な書類を添付して申請します。
(自治体によっては、随時登録可能な場合もあります)
申請が承認されれば、その自治体が発注する入札案件に指名競争入札・一般競争入札を行い、落札することで受注することができます。
基本的に「総合評定値:P点」の点数で、受注できる工事の金額が決まりますが、自治体によっては、その他の加点要因を考慮してくれる場合もあります。
(例)宮城県の加点(減点)要因例
①県工事検査規程に基づく工事成績調書の総合点
②宮城県の優良建設工事施工業者表彰を受けた件数
③宮城県の建設工事事故防止優良者表彰を受けた件数
④建設業法の規定に基づく指示処分を受けた件数、営業停止を受けた日数
⑤宮城県の建設工事指名停止に関する定めに基づく指名停止を受けた日数
⑥全国建設業労働災害防止大会において表彰を受けた件数
⑦ISO9000及び14000シリーズ登録証の件数又はみちのく環境管理規格の認証登録の件数
⑧障害者雇用促進法に基づく障がい者の雇用の状況
⑨災害時対応の地域貢献の有無及びその他の地域貢献の有無
⑩ポジティブ・アクションの推進の状況
⑪技能士の在籍の状況
⑫消防団協力事業所の認定の有無
ランクの決定
経営事項審査のP点、その他の加点(減点)要因をすべて勘案してその自治体の「ランク」が決定します。
ランクによって受けられる公共工事の金額が決まりますので、どのランクになるためにどのような対策が必要か、理解していることが問われます。
(例)宮城県の各発注工事に対する条件とランク
総合評点とランクの関係
発注工事の種類 |
条件 |
ランク |
|||
---|---|---|---|---|---|
大分類 |
小分類 |
総合評点 |
1級技術者 |
完成工事高 |
|
土木工事 |
土木一式工事 水道施設工事 |
950点以上 |
|
|
S |
850点以上 |
11人以上 |
|
S |
||
700点以上 |
4人以上 |
|
A |
||
550点以上 |
1人以上 |
|
B |
||
549点以下 |
|
|
C |
||
プレストレストコンクリート工事 |
800点以上 |
11人以上 |
完成工事高合計のうち当該工事の年間平均完成工事高が2分の1以上又は当該工事の年間平均完成工事高が1億円以上 |
S |
|
799点以下 |
1人以上 |
|
A |
||
建築工事 |
建築一式工事 |
950点以上 |
|
|
S |
850点以上 |
7人以上 |
|
S |
||
700点以上 |
3人以上 |
|
A |
||
550点以上 |
1人以上 |
|
B |
||
549点以上 |
|
|
C |
||
鋼構造物、しゅんせつ工事 |
鋼構造物工事 しゅんせつ工事 |
950点以上 |
|
|
S |
850点以上 |
10人以上 |
|
S |
||
700点以上 |
3人以上 |
|
A |
||
699点以上 |
|
|
B |
||
鋼橋上部工工事 |
800点以上
|
10人以上 |
完成工事高合計のうち当該工事の年間平均完成工事高が2分の1以上又は当該工事の年間平均完成工事高が1億円以上 |
S |
|
|
|
799点以下 |
1人以上 |
|
A |
とび・土工・コンクリート工事 |
とび・土工・コンクリート工事 |
700点以上 |
3人以上 |
|
A |
|
699点以下 |
|
|
B |
|
法面工事 |
800点以上 |
3人以上 |
完成工事高合計のうち当該工事の年間平均完成工事高が2分の1以上又は当該工事の年間平均完成工事高が1億円以上 |
S |
|
799点以下 |
|
|
A |
||
ほ装工事 |
ほ装工事 |
950点以上 |
|
|
S |
850点以上 |
10人以上 |
|
S |
||
700点以上 |
3人以上 |
|
A |
||
699点以下 |
|
|
B |
||
設備工事 |
電気工事、管工事、機械器具設置工事、電気通信工事 |
850点以上 |
|
|
S |
650点以上849点以下 |
|
|
A |
||
649点以下 |
|
|
B |
||
その他工事 |
大工工事、左官工事、石工事、屋根工事、タイル・れんが・ブロック工事、鉄筋工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、熱絶縁工事、造園工事、さく井工事、建具工事、消防施設工事、清掃施設工事 |
650点以上
|
|
|
A
|
649点以下
|
|
|
B |
各ランクに対応する工事発注金額
発注工事の種類 |
ランク |
請負工事金額の範囲 |
|
---|---|---|---|
大分類 |
小分類 |
||
土木工事 |
土木一式工事 水道施設工事 |
S |
1億円以上 |
A |
3000万円以上1億円未満 |
||
B |
1000万円以上3000万円未満 |
||
C |
1000万円未満 |
||
プレストレストコンクリート工事 |
S |
3000万円以上 |
|
A |
3000万円未満 |
||
建築工事 |
建築一式工事 |
S A B C |
2億円以上 5000万円以上2億円未満 1000万円以上5000万円未満 1000万円未満 |
鋼構造物、しゅんせつ工事 |
鋼構造物工事 しゅんせつ工事 |
S |
5000万円以上 |
A |
500万円以上5000万円未満 |
||
B |
500万円未満 |
||
鋼橋上部工工事 |
S |
5000万円以上 |
|
A |
5000万円未満 |
||
とび・土工・コンクリート工事 |
とび・土工・コンクリート工事 |
A |
5000万円以上 |
B |
5000万円未満 |
||
法面工事 |
S |
1000万円以上 |
|
A |
1000万円未満 |
||
ほ装工事 |
ほ装工事 |
S |
3000万円以上 |
A |
500万円以上3000万円未満 |
||
B |
500万円未満 |
||
設備工事 |
電気工事、管工事、機械器具設置工事、電気通信工事 |
S A B |
6000万円以上 1000万円以上6000万円未満 1000万円未満 |
その他工事 |
大工工事、左官工事、石工事、屋根工事、タイル・れんが・ブロック工事、鉄筋工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、熱絶縁工事、造園工事、さく井工事、建具工事、消防施設工事、清掃施設工事 |
A
B |
500万円以上
500万円未満 |
入札に参加するまでには、いくつかのステップがあることがお分かりいただけたと思います。
当事務所では、これらの手続きを一貫して対応しておりますので、お気軽にご相談下さい。
(著者)行政書士 方波見泰造(ハイフィールド行政書士法人)
行政書士歴10年。建設業許可に関しては新規・更新・各種変更手続きの他、経営事項審査申請のサポートと入札参加資格申請を東北六県、関東で対応中。顧問契約で許認可管理も行っている。行政書士会や建設業者でも建設業許可に関する講演・セミナー実績あり。
【保有資格】行政書士、宅地建物取引士(登録済)、経営革新等支援機関
経済産業省認定経営革新等支援機関として企業の資金繰をサポートするほか、不動産業(T&K不動産)にて事業用地の仲介も行う。
許認可という企業の生命線をしっかり管理しながら、資金繰りと事業用地という経営の土台も支える行政書士として日々研鑽を行う。