行政書士が解説「建築一式工事」

【2024/7/6】

マイホームや事務所を新築する場合、設業許可業種として必要なのは「建築一式工事」です。

イメージし易いとは言え、考え方として一定の複雑な視点もあります。

実際にはどういった工事が「建築一式工事」に該当するのか、見ていきましょう。

建設業許可業種の「建築一式工事」

建設業許可業種の中でも建築一式工事は土木一式工事と同様「一式工事」と呼ばれる工事です。

一式工事とは「総合的な企画、指導、調整のもとに行う工事」でした。

つまり建築一式工事は「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事」と定義されます。

「建築一式工事」の内容

建築一式工事の代表的なものは「建物の新築工事」です。

住宅や事務所等の建築物をまるまる一棟新築する工事が建築一式工事です。

新築工事の他、増改築工事、建物の総合的な改修工事等、その他一式工事として請負うものは建築一式工事となります。基本的に建築確認を必要とするものは建築一式工事と言っていいと思います。

「建築一式工事」の考え方

工作物の建設を一体的に請負って、総合的な企画、指導、調整を行うという一式工事の性質から考えると、建築一式工事に該当するのは原則として元請で請負う工事と言えるでしょう。

また、建築一式工事は必ずしも2以上の専門工事が組合わせられることが要件ではありません。工事の規模や複雑性等から判断して個別の専門工事として施工することが困難なものも含まれます。

ビルの外壁に固定された避難階段を設置する工事は「消防施設工事」ではなく建築物の躯体の一部の工事として「建築一式工事」又は「鋼構造物工事」に該当します。

建築一式工事の許可が必要な工事がどのようなものなのかを理解すると分かりやすいかも知れません。

建築一式工事の許可が必要な工事は以下の工事です。

  • 1件の請け負い金額が「1,500万円以上(税込み)」
  • 請負代金の額に関わらず、木造住宅で延面積が150㎡以上

(木造住宅の場合は主要構造部が木造で延べ面積の1/2以上を居住の用に供するもの)

 

建築一式工事許可取得に必要な専任技術者としての資格

建設業許可における管工事を取得するため、専任技術者に求められる資格は以下のとおりです。

2級建築施工管理技士の場合は種別が「建築」である必要があり、「仕上げ」「躯体」の場合は建築一式の専任技術者にはなれない点に注意が必要です。

1級建築士
2級建築士
1級建築施工管理技士
2級建築施工管理技士(種別:建築)

一般建設業の場合は、上記の資格がなくても実務経験があり、これを証明できれば専任技術者になることが可能です。

必要な実務経験は学歴によって異なってきます。

「建築学」または「都市工学」に関する学科を卒業している場合には、高校卒業なら5年以上、大学卒業なら3年以上の実務経験があれば、専任技術者となれます。

高度専門士や専門士の称号を持っている場合は大学卒業と同様に扱われます。

これら指定学科を卒業していない場合には10年以上の実務経験があれば専任技術者になれます。ただ、なかなか証明するのは難しいと言えます。

(著者)行政書士 方波見泰造(ハイフィールド行政書士法人)

行政書士歴10年。建設業許可に関しては新規・更新・各種変更手続きの他、経営事項審査申請のサポートと入札参加資格申請を東北六県、関東で対応中。顧問契約で許認可管理も行っている。行政書士会や建設業者でも建設業許可に関する講演・セミナー実績あり。

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【保有資格】行政書士、宅地建物取引士(登録済)、経営革新等支援機関

経済産業省認定経営革新等支援機関として企業の資金繰をサポートするほか、不動産業(T&K不動産)にて事業用地の仲介も行う。

許認可という企業の生命線をしっかり管理しながら、資金繰りと事業用地という経営の土台も支える行政書士として日々研鑽を行う。

 

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