【2024/9/3執筆】
電気通信工事はLAN配線工事等比較的身の回りでイメージしやすい工事ではないでしょうか。
インターネットや電話という生活には今や欠かせないインフラ整備に関する工事です。
実際にはどういった工事が「電気通信工事」に該当するのか、見ていきましょう。
「電気通信工事」の内容
建設業の「電気通信工事」は、有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事を言います。
具体的な工事で言うと、電気通信線路設備工事、電気通信機械設置工事、放送機械設置工事、空中線設備工事、データ通信設備工事、情報制御設備工事、TV電波障害防除設備工事等が該当します。
「電気通信工事」の考え方
①「情報制御設備工事」には、コンピューター等の情報処理設備の設置工事も含まれます。
②既に設置されている電気通信設備の改修、修繕又は補修等は「電気通信工事」に該当します。保守(電気通信施設の機能性能及び耐久性の確保を図るために実施する点検、設備及び修理をいう。)に関する役務の提供等の業務は「電気通信工事」に該当しません。
③「機械器具設置工事」には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれることから、機械器具の種類によっては「電気工事」、「管工事」、「電気通信工事」、「消防施設工事」等と重複するものもありますが、これらについては原則として「電気工事」等それぞれの専門の工事の方に区分するものとし、これらいずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械器具の設置が「機械器具設置工事」に該当するという考え方です。
電気工事と電気通信工事の違い
電気工事と電気通信工事は、いずれも現代社会に不可欠なインフラを支える工事ですが、その役割と技術には明確な違いがあります。ここでは、それぞれの工事の特徴と違いについて詳しく説明します。
電気工事とは
電気工事は、主に電力の供給や配電を行うための設備や配線の設置・保守を指します。この工事には、家庭や商業施設、工場などにおける配線工事、照明設備の設置、変電設備の設置・点検などが含まれます。電気工事は、電力を安全かつ効率的に供給することを目的とし、電気設備が正常に機能するための基盤を構築します。
主な電気工事の内容
- 配電盤の設置・配線
- 照明器具やコンセントの取り付け
- 高圧・低圧電気設備の設置
- 防災設備の設置(火災報知器、避雷設備など)
電気通信工事とは
一方、電気通信工事は、情報を伝達するための通信設備やネットワークの設置・保守を行う工事です。これには、電話回線やインターネット回線の敷設、LAN配線、無線通信設備の設置などが含まれます。電気通信工事は、音声やデータ、映像などの情報を迅速かつ安全に伝送するためのネットワークインフラを整備する役割を果たします。
主な電気通信工事の内容
- インターネット回線や電話回線の敷設
- LAN配線やネットワーク機器の設置
- 無線通信設備の設置(Wi-Fiアクセスポイント、アンテナ設置など)
- 防犯カメラや監視システムの配線・設置
電気工事と電気通信工事の違い
電気工事と電気通信工事の主な違いは、取り扱う電力や情報の性質と、それに伴う技術的な要件にあります。
- 取り扱う対象:
- 電気工事は、主に電力供給や照明、電力機器の設置・維持を行います。
- 電気通信工事は、情報の伝送や通信ネットワークの構築に焦点を当てています。
- 技術的な要求:
- 電気工事は、電圧や電流の管理、絶縁の確保、安全性に関する厳しい基準が求められます。
- 電気通信工事は、信号の伝送速度やノイズ対策、通信の安定性が重要です。
- 規制と資格:
- 電気工事には、「電気工事士」資格が必要であり、施工には一部の軽微なものを除き基本的に「電気工事登録」が必須です。
- 電気通信工事にも「電気通信主任技術者」などの資格が求められ、専門的な技術と知識が必要です。
電気工事と電気通信工事は、どちらも高度な専門知識と技術を要する重要な分野です。電気工事は、電力の安全な供給を確保し、日常生活や産業活動を支える基盤を提供します。一方、電気通信工事は、情報社会において不可欠な通信ネットワークを整備し、現代の高度情報化社会を支えています。
これらの工事が正しく実施されることで、私たちの生活は安全で快適なものとなり、ビジネスも円滑に運営されます。電気工事と電気通信工事の違いを理解することで、適切なサービスを選び、より良い環境を築くことができるでしょう。
電気通信工事業許可の取得に必要な専任技術者としての資格
建設業許可における「電気通信工事」を取得するため、専任技術者に求められる資格は以下のとおりです。
1級電気通信工事施工管理技士 |
2級電気通信工事施工管理技士 |
電気通信主任技術者(資格取得後に実務経験5年) |
上記の資格を保持していなくても「電気通信工事」に関する実務経験があり、これを証明できれば専任技術者になることが可能です。
必要な実務経験は、まずはその方の学歴によって異なってきます。
「電気工学」または「電気通信工学」に関する学科を卒業している場合には、高校卒業なら5年以上、大学卒業なら3年以上の電気通信工事に関する実務経験があれば、専任技術者となることができます。
高度専門士や専門士の称号を持っている場合は大学卒業と同様に扱われます。
これら指定学科を卒業していない場合には「電気通信工事に関する10年以上の実務経験」があれば専任技術者になれます。
これら実務経験は過去の注文書等の確認書類が必要であり、書類上実務経験が確認できて初めて専任技術者として認められます。
(著者)行政書士 方波見泰造(ハイフィールド行政書士法人)
行政書士歴10年。建設業許可に関しては新規・更新・各種変更手続きの他、経営事項審査申請のサポートと入札参加資格申請を東北六県、関東で対応中。顧問契約で許認可管理も行っている。行政書士会や建設業者でも建設業許可に関する講演・セミナー実績あり。
【保有資格】行政書士、宅地建物取引士(登録済)、経営革新等支援機関
経済産業省認定経営革新等支援機関として企業の資金繰をサポートするほか、不動産業(T&K不動産)にて事業用地の仲介も行う。
許認可という企業の生命線をしっかり管理しながら、資金繰りと事業用地という経営の土台も支える行政書士として日々研鑽を行う。