行政書士が解説「鋼構造物工事」

【2024/8/29執筆】

建設業許可における「鋼構造物工事」は鉄骨等を使用して工作物を加工・組み立てる工事を言います。

実際にはどういった工事が「鋼構造物工事」に該当するのか、見ていきましょう。

「構造物工事」の内容

形鋼、鋼板等の鋼材の加工や組立てにより工作物を築造する工事を「構造物工事」と言います。

具体的には鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、石油・ガス等の貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事、閘門・水門等の門扉設置工事等が構造物工事に該当します。

「橋梁工事」とは簡単に言えば「橋」の工事です。道路、鉄道、水路などの輸送路において、輸送の障害となる河川、渓谷、湖沼、海峡あるいは他の道路、鉄道、水路などの上方にこれらを横断するために建設される構造物の総称です。

「屋外広告工事」で言う「屋外広告」は常時又は一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるものであって、看板、立看板、はり紙及びはり札並びに広告塔、広告板、建物その他の工作物等に掲出され、又は表示されたもの並びにこれらに類するものを言います。

 「鋼構造物工事」の考え方

「とび・土工・コンクリート工事」における「鉄骨組立工事」と、「鋼構造物工事」における「鉄骨工事」との区分の考え方は、鉄骨の製作、加工から組立てまでを一貫して請け負うのが「鋼構造物工事」における「鉄骨工事」であり、既に加工された鉄骨を現場で組立てることのみを請け負うのが「とび・土工・コンクリート工事」における「鉄骨組立工事」であると考えられます。

ビルの外壁に固定された避難階段を設置する工事は「消防施設工事」ではなく、建築物の躯体の一部の工事として「建築一式工事」又は「鋼構造物工事」に該当すると考えられます。

「とび・土工・コンクリート工事」における「屋外広告物設置工事」と「鋼構造物工事」における「屋外広告工事」との区分の考え方は、現場で屋外広告物の製作、加工から設置までを一貫して請け負うのが「鋼構造物工事』における「屋外広告工事」であり、それ以外の工事が「とび・土工・コンクリート工事」における「屋外広告物設置工事」と考えられます。

鋼構造物工事業許可の取得に必要な専任技術者としての資格

建設業許可における「構造物工事」を取得するため、専任技術者に求められる資格は以下のとおりです。

1級土木施工管理技士
2級土木施工管理技士(土木)
1級建築施工管理技士
2級建築施工管理技士(躯体)
1級建築士
1級鉄工(製缶作業、製造物鉄工作業)・製罐技能士
2級鉄工・(製缶作業、製造物鉄工作業)製罐技能士(資格取得後に実務経験1年~3年)

上記の資格を保持していなくても「鋼構造物工事」に関する実務経験があり、これを証明できれば専任技術者になることが可能です。

必要な実務経験はまずはその方の学歴によって異なってきます。

「土木工学」または「建築学」「機械工学」に関する学科を卒業している場合には、高校卒業なら5年以上、大学卒業なら3年以上の鋼構造物工事に関する実務経験があれば、専任技術者となることができます。

高度専門士や専門士の称号を持っている場合は大学卒業と同様に扱われます。

これら指定学科を卒業していない場合には「鋼構造物工事に関する10年以上の実務経験」があれば専任技術者になれます。

これら実務経験は過去の注文書等の確認書類が必要であり、書類上実務経験が確認できて初めて専任技術者として認められます。

(著者)行政書士 方波見泰造(ハイフィールド行政書士法人)

行政書士歴10年。建設業許可に関しては新規・更新・各種変更手続きの他、経営事項審査申請のサポートと入札参加資格申請を東北六県、関東で対応中。顧問契約で許認可管理も行っている。行政書士会や建設業者でも建設業許可に関する講演・セミナー実績あり。

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【保有資格】行政書士、宅地建物取引士(登録済)、経営革新等支援機関

経済産業省認定経営革新等支援機関として企業の資金繰をサポートするほか、不動産業(T&K不動産)にて事業用地の仲介も行う。

許認可という企業の生命線をしっかり管理しながら、資金繰りと事業用地という経営の土台も支える行政書士として日々研鑽を行う。

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